成長と幸運
- 公開日
- 2023/06/05
- 更新日
- 2023/06/05
校長メッセージ
藤井聡太さんが将棋の名人戦で勝利したのはご存じの方も多いでしょう。私は将棋には詳しくありませんが、この名人戦とは将棋界では特別なタイトルだそうで、すでに獲得した六冠のタイトルに比べて、名人戦への挑戦権は年間ランキングが大きく影響しているのだとか。最年少記録も更新だそうですから、破竹の勢いとはこのことでしょう。しかし私が注目したのは、藤井聡太さんが記者のインタビューに応えた言葉です。
名人戦に勝利した直後に、記者から「名人戦を勝利して七冠達成ですね。藤井さんには特別な景色が見えたのではないですか」と問われました。すると藤井さんは「今回の将棋は、以前に比べて少し余裕がありました。そんな心持ちで将棋を指せたことには自分の成長を感じます」と応えたのです。さらに記者は「これで残すは王座戦のみ。八冠達成に向け意気込みを教えてください」と問い、藤井さんはこう応えました。「挑戦できるまでになったことは幸運でした。子どもの頃から憧れていた名人位に着けたのもこれからの成長に良いものとなりました」
皆さんはどう思われますか。若干二十歳の青年ですが深い言葉だと思います。藤井さんにとっては、タイトルを取ることよりも自分の成長に焦点を当てているし、ここまで来られたのは自分一人の力以上に幸運であったと感じているのです。実は、偉業を成し遂げた多くの方がこの「成長」とか「幸運」という言葉を使います。人生の流れにおいて、この表現は自分を振り返る重要な視点です。藤井さんに改めて教えていただきました。
学校長 川合 一紀