学校長の式辞です。
<豊島区立巣鴨北中学校 卒業証書授与式 式辞>
第11回の卒業生159名の皆さん、卒業おめでとうございます。
この佳き日にあたり、ご多用の所、豊島区・豊島区教育委員会より教育総務部 参事 吉末 昌弘 様をはじめ、日頃、本校に何かとご理解、ご援助を賜っております大勢のご来賓の方々のご臨席をいただき、盛大に卒業証書授与式を挙行できますことは、誠にありがたく、本校職員一同と共に厚く御礼申し上げます。
そして、保護者の皆様方にも ご列席いただいております。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。この三年間、PTA活動等を通してお寄せくださいました本校へのご協力・ご支援に深く感謝いたします。
さて、卒業生の皆さん、先ほど、一人一人にお渡しした卒業証書は、中学校の全課程を修了したと同時に、九年間の義務教育を修了したことを証明するものです。今、卒業の式典にあたり、「巣鴨北中学校で学んだことを礎に、自分の夢に向かって努力し、自覚と責任をもって自らの役割を果たしてほしい」ということを話したいと思います。
卒業文集にも書きましたが、みなさんを見ていると、私は東京スカイツリーの建設とその姿を重ねてしまいます。東京都墨田区押上に建設された電波塔「東京スカイツリー」。その姿は、豊島区内のあらゆる所から見ることができます。
その電波塔の計画がもちあがったのは平成15年(2003年)12月、NHKと在京民放キー局5社が600m級の新しい電波塔を求めて、「在京6社新タワー推進プロジェクト」を発足したのがきっかけでした。君たちが小学校1年生の時です。その後建設地が決まり、着工したのが平成20年(2008年)7月。君たちは小学校6年生。あと半年で巣鴨北中学校へ入学の年。基礎工事を終え、地上部分の工事に着工したのが、中学校入学とほぼ同時の平成21年4月。そして、中学校の卒業を間近に控えた今年の2月29日に竣工。さらに、君たちが巣鴨北中学校を巣立ってまもなくの5月22日に開業予定。つまり、東京スカイツリーの建設は、君たちの中学校生活とほぼ同時に進行していたことになります。
ところで、東京スカイツリーの基礎部分は、地中50メートルまで伸びたコンクリートの壁が杭になっています。その壁杭に「節」をつくることで更に引抜く抵抗力が強くなり、634メートルのタワーを支えるのです。この杭の中には、タワーが倒れないように引っ張る鉄骨が埋込まれていて、これを掘り出して、タワーの鉄骨と直接ドッキングさせたのです。
また、耐震設計には日本最古の木造建築、法隆寺の五重塔を土台から貫く心柱(しんばしら)が参考にされているそうです。古くからあるものを新しい技術で再生する日本の技術力に驚かされると同時に、基礎が大切であることや、一本、ピンと筋の通った柱の重要性も感じます。
皆さんにとっての基礎は巣鴨北中学校で学んだものであり、筋の通った柱は、自らの志から生まれるものだと思います。義務教育でたくさんのことを学んだこの基礎があってこそ、東京スカイツリーの高さにも負けない「夢」という名の目標の建設が可能になります。
気持ちのよい挨拶のできるその姿勢、学習や運動会、れんが祭に燃えるその態度、多くの生徒たちと関わることで身に付けたその「思いやりの心」や「感謝の気持ち」などを礎に、これから地上部分にあたる、各々のスカイツリーを建設してください。
11月12日に卒業生は最高学年時で、本校の開校10周年記念式典を経験しました。愛校心も更に強まったことと思います。同時に、地域の方々からの思いや、これから地域を支えていく人材として必要とされていることも実感できたでしょう。
ほぼ1年前に発生した東日本大震災の復興は、1年や2年で成し遂げられるものではありません。これからの日本や世界を支えていくのはみなさん方の世代です。防災活動に関しても、地域の方から期待されているのはみなさん方の力です。自覚と責任をもち、社会の中での役割を果たしていってください。
皆さんは、本日、巣鴨北中学校を卒業します。これからも、この地域、郷土を愛し、巣鴨北中学校の卒業生であることに自信と誇りをもってこれからの人生を切り開いていってください。また、卒業生として、地域に生活する者としてこれからも巣鴨北中学校を応援してください。
卒業生諸君の今後の健やかな成長を祈念し、限りない前途を祝し、校長式辞といたします。
平成24年3月19日
豊島区立巣鴨北中学校 校長 江川 登