忍耐料
- 公開日
- 2022/12/19
- 更新日
- 2022/12/19
校長メッセージ
小林正観さんという教育学及び心学の博士がいらっしゃいます。すでに亡くなられていますが、生前は多くの方が悩みの相談に訪れたと言います。その中のエピソードです。
ある会社の社長さんが部下を激しく怒鳴り続けていたことがあるそうです。私は、その話を聞き「怒鳴られたり、怒られたりすることに対しての手当が出るのですか」と聞きました。もちろん「そのようなものはありません」と返ってきました。そこで私はさらに聞きました。「給料というのは、当然、『労働』の対価として支払われるもので、その中には『怒鳴られる』ことに対する報酬は含まれていないのですよね」と。
その社長さんはしばらく黙っていました。そこでまた私は言いました。「上司という人は、下の人よりも忍耐強く、寛容だから『長』なのですよね。では社長がどういうものかと言えば『社』の中で、もっとも忍耐強く、度量が広くて寛容である、そのような人を『社』の『長』(社長)というのだと思います」と。
この話を聞いて社長さんはポツリと言いました。「社長の給料の中には、その『忍耐料』も含まれているのですね」と。私はその一言に思わずにっこりとして「とても素敵な表現ですね」と答えました。
考えさせられるエピソードです。この社長さんは気づいたのでしょう。この話は社長という職に限らず当てはまるものは多いのではないでしょうか。
学校長 川合 一紀