クロノスとカイロス
- 公開日
- 2023/06/14
- 更新日
- 2023/06/14
校長メッセージ
ギリシャ神話に出てくる神様として時間を表す「クロノス」という白髪の老人がいます。クロノスとは現在我々が最も身近に使っている時間のことであり、この時間は過去から現在、そして未来へと流れていくものです。時計がそれを表していますね。クロノス神は、砂時計を持っていますから、そこからも数値的、数量的に表される時間のことを象徴しています。
一方で「カイロス」という神は前髪しかない青年です。ギリシャの諺に「幸運の女神には前髪しかない」とあるように、チャンスはそのときにしっかりとつかまないと、去って行った後には後ろ髪がないので掴めないというわけです。つまりこのカイロスとは、一瞬一瞬の主観的な時間を表しているようです。人によってチャンスと捉えるタイミングは違いますから、その一瞬、すなわち「今だ!」という時間をいっているようですね。
現代社会においては、圧倒的にクロノスが優位です。クロノスに振り回されていると言っても良いでしょう。
例えば皆さんが都会から、田舎の温泉地や秘境に行ったらどう感じますか。「なんだか、時間がゆっくり流れているように感じる」なんてことありませんか。これは正に主観的な時間の流れカイロスです。田舎だって時間の流れは同じはずなんですけどね。
幼児は、このクロノスを理解していないので、自分の感覚でカイロスの世界に生きていると言われます。大人はそれを忘れてしまっているようですね。でも、突き詰めると、人間はカイロスの世界にしか生きられません。過去や未来を想起・想像することはできても、それには触れられないのですから。だから今をしっかり生きること。
カイロスの世界を大切にしたいですね。
学校長 川合 一紀