学校日記

過保護のすすめ

公開日
2022/09/05
更新日
2022/09/05

校長メッセージ

 ちょっと聞くと違和感のある言葉でしょうか。これに似た言葉に「過干渉」というのがあります。過干渉とは、必要以上に干渉すること。すなわち、子どものやること成すことに一々干渉して、子ども自身の意見や行動を制限してしまうことですね。「転ばぬ先の杖」という諺がありますが、それを少しはき違えているわけです。
 「転ばぬ先の杖」というのは、事前に十分準備をしておけば失敗することはないという意味ですが、はき違えていると言ったのは、あらかじめ注意を与えたり、本人の意思とは無関係に親や大人が手を貸したりしていくことで失敗を防ごうといった捉え方、つまりは親の価値観を子供に押し付けていると思うからです。
 一方で過保護というのはどういうことでしょうか。字の通りに捉えるならば保護が過ぎるという意味になりますが、もう少し深く考えると、親が子どもを心の底から愛することは決して悪いことではありません。だから子どもにたくさんの失敗経験をさせて成長してもらいたいと願うあまり、ついついやりすぎてしまうもの頷けます。ただ、取り返しのつかない失敗は挫折感を生み子どもが立ち直れなくなってしまうかもしれません。そのためにも親はその後のフォローがとても大切になってきますね。いつでも、どこでも、どんなときでも親は「あなたの見方だよ」というメッセージを伝えることこそ大事であり、そのための余りある保護、そのことを過保護と言ってもいいのではないでしょうか。
「あなたのことを大切にしている」「あなたのことを愛している」と伝えることに、やり過ぎることはないのですよ。

 だから「過保護のすすめ」をしています。子どもの情緒安定には欠かせないキーワードです。

                    学校長  川合 一紀