世の中には不思議なことがあるものです
- 公開日
- 2020/08/24
- 更新日
- 2020/08/24
校長メッセージ
ある登山家の話です。
山岳部の5人のパーティーが冬山を登山中に遭難し、一人が雪崩の下敷きになり命を落としました。やがて近くに山小屋があることを発見し、深夜、月明かりだけを頼りにとりあえず遺体を運び込み救助を待ちました。遺体を真ん中に寝かせ、他の4人は部屋の四隅に座ったのです。しかしこのままではみんな眠ってしまいます。火の気のない真っ暗な山小屋で眠れば凍死してしまうかもしれません。そこで、リーダーは一晩中皆が起きているゲームを考えました。
それは、4人が四隅に座っていることを利用し、まず一人が壁伝いに歩いて行き、そこに座っている次の人を手探りで探し、肩をたたき、席を交代するというもの。すると肩をたたかれた人がまた壁伝いに歩いて次の角まで行き、そこの人の肩をたたき、そこに座る・・・。
こうやって一晩中、四人は席を入れ替えながら歩いたため、寝込んでしまうことも無く翌日無事救助隊に発見され、遺体は収容され、四人も無事でした。しかしリーダーは大変なことに気づいて愕然となりました。なぜなら自分の考えたゲームは4人では絶対に成立しないからです。
皆さんもよく考えてみてください。図を書くとわかりやすいですが、 A,B,C,Dの4人が四隅に座ります。AがBへ、BはCへ、CはD、そしてDはAの場所まで行ったとき、いったい誰の肩をたたけるのか。AはすでにBの席に移動しているので、そこは空席のはずなのです。Dは言います。真っ暗な中で確かに誰かの方をたたいたと、そして、すでにBの席に移動していたAも間違いなく誰かに肩をたたかれたと。これは実話だそうですが、「夏の終わりに怖いお話を」というつもりで書いたわけではありません。信念をもって取り組んでいれば成就するということをお伝えしたかったのです。世の中には科学では証明のできない不思議なことがたくさんあります。しかし信じて突き進むから道が拓けるということもあるわけです。可能性が限りなくゼロに近くとも、やる価値はあるのですね。
まぁ、もしかしたら遺体となった友が、皆を助けるために参加したのかもしれませんが・・・。
学校長 川合 一紀