失われた時を求めて
- 公開日
- 2020/06/08
- 更新日
- 2020/06/08
校長メッセージ
表題は、フランス人作家マルセル・プルーストの長編小説です。主人公が紅茶に浸したマドレーヌを口にしたときの香りから、不意によみがえった幼少時代の記憶を綴った全7巻の作品です。このように香りから記憶を呼び起こすことは時々ありますよね。これをプルースト効果というようです。では、なぜ匂いから記憶が呼び起こされるのでしょうか。記憶というものは脳内にある「海馬」という記憶をとどめておく場所にため込まれます。嗅覚(きゅうかく)は、この海馬に覚えておきたい記憶とともに直接送り込むことができるのだそうです。五感のうち嗅覚だけがこのルートを通るようです。また嗅覚をつかさどる脳の部分は、海馬に隣接したところにあることも原因のようです。このプルースト効果を使うと、効率的に記憶を鮮明な形で留めておくことができるというので、特別な勉強法としても使われているといわれます。
今、世の中を席巻している新型コロナウイルスでは、この嗅覚異常が問題になっていますね。良い香りが感じられ、心穏やかに過ごせる毎日を心から願います。
ところで皆さんの「匂いの記憶」って何ですか?
学校長 川合 一紀