学校日記

喜ばれる存在になる

公開日
2021/10/26
更新日
2021/10/26

校長メッセージ

 あるお話を耳にしました。紹介します。
 
 私の娘が小学校6年生の時です。運動会で徒競走がありました。娘は生まれつきの染色体異常による知的障害を抱えています。加えて普通の子供よりも筋力が無いわけなので、いつもビリ。でも、その年は足を捻挫した友達がいたため、「もしかしたら、初めてビリじゃないかもしれない」と妻は喜んでいました。結果は・・・娘はまたしてもビリでした。ところが妻は残念がることなく、むしろニコニコと嬉しそうだったのです。娘は捻挫をしている友だちを気にかけながら、心配そうに、うしろをふり返りふり返り走り続けていたのです。足をかばいながら走っていた友だちが転んでしまうと、娘は友だちのところに駆け寄り、手をひき、一緒に走り始めたのです。2人の姿を見て、周りの児童も、保護者も2人に多くの声援を送っていました。そして、ゴールの前まで来たとき、娘は、その子の肩をぽんと押してその子を先にゴールさせたのです。私はこの姿を見たとき、今までの自分を恥ずかしく思いました。人間が生きる目標というのは、競争したり、他人を蹴落として一番になったりすることではなく、「喜ばれる存在」になることなのだと気づいたのです。きっと娘は、そのことを教えてくれるために、私たち夫婦の子供になってくれたのだと・・・。

 本校でも先日、運動会が無事に行われました。保護者の方からは、「負けてもお互いに拍手し合う姿勢に感動しました」とのお言葉をいただきました。勝ち負けよりも大切なものを感じ取ってくれたに違いありません。

                      学校長  川合 一紀