学校日記

関係の鏡

公開日
2021/05/10
更新日
2021/05/10

校長メッセージ

 一人の男がある村を訪ねて、その村の長老に会いに行きました。訪問者は言いました。
「この村に引っ越そうかどうか考えています。ここに住む村人たちはどんな人か教えていただけませんか」すると長老は「あなたが住んでいた村の人々は、どんな人たちでしたか」と逆に訪ね返してきました。訪問者は「強盗、詐欺師、嘘つきだらけです!」と答えました。長老は答えました。「この村の人たちもまったく同じ人間ばかりですよ」と。訪問者は、二度と戻ってきませんでした。
 しばらくして別の男が村にやってきて、長老に話を聞きに行きました。訪問者は尋ねました。「私はこの村に引っ越そうかどうか考えているところです。ここに住む村人たちはどんな人か教えていただけませんか」すると長老は言いました。「あなたが住んでいた村の人たちは、どんな人たちでしたか」訪問者は答えました。「とても親切で、優しくて、思いやりがあり、愛情深い人たちでした。会えなくなると思うと、とても寂しく感じます。」そして長老は言いました。「ここに住んでいる村人たちも、まったく同じ人間ばかりですよ」と。
 このお話は、他者に見えているその特徴が、実は自分のもつ一番強烈な性格であるということを言い表しているのだそうです。自分がそういう考えで過ごしているから、他者もそのように見えてしまうのですね。これを「関係の鏡」と言うようです。人間関係には良い関係も悪い関係も様々でしょう。しかし自分との関わりにおいては、まさに鏡のように映し出されていて、自分がそう振る舞うから相手もそのように振る舞うのですね。いやいや手厳しい観察眼です。4月に新しい環境へ飛び込んだ方も多いことでしょう。そこの人たちになじめるかどうか、自分は受け入れられるだろうか、楽しく過ごせるだろうか、すべては自分次第であるということを肝に銘じたいですね。

                        学校長  川合 一紀