本末転倒
- 公開日
- 2020/11/09
- 更新日
- 2020/11/09
校長メッセージ
アメリカ大統領選挙では、ジョー・バイデン氏が当選確実となり勝利宣言をしましたね。その中では「分断では無く、一つのアメリカ合衆国として建て直す」と発言しています。それまでの選挙戦では、ドナルド・トランプ氏を相手に互いを批判し合う場面が多く見られたようで、本来注目すべき政策はどうであったか、ここが重要だったのですね。改めて大事なことは何だったかを思い出すわけです。
ところで表題は、本末転倒(ほんまつてんとう)と読みますね。これは、物事の本質ではないことにこだわり、大事な部分をおろそかにしてしまうことを言います。
哲学の用語に「人間学」というものがあります。人を愛する、尊敬する、我慢する、正直である、勤勉である、誠実であるなどの人として備えている徳性を養っていく学問のことをいうようです。一方で知識や技能を養う学問のことを「時務学」といいます。学校で習う数学や国語といった知識は時務学ということになりますね。もちろんこの時務学は生きていくためのスキルとしてとても大切なものですが、しっかりとした基礎があってこそ、知識や技能も活きてくるわけです。中国の古典には、人間学を「本学」そして時務学を「末学」と呼んでいて、まずは本学をしっかり身につけてこそ末学が枝葉を作っていくと言っています。
我々は時として、実用的、実務的なちょっとした知識を身につけるとか、仕事に役立ちそうな学問をかじっただけで、一人前の仕事ができるような気分になります。しかし末学をもって本学とすることは、まさに本末転倒なのです。人間学を大切にしたいものです。
学校長 川合 一紀