科学って宗教?
アルベルト・アインシュタインと言えば、「相対性理論」なる考えを世に送り出した理論物理学の第一人者として有名ですが、実は哲学者としても名は知られているんですね。たくさんの名言を残しているそうですが、その中に「過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望をもつ。大切なことは、何も疑問をもたない状態に陥らないことである」というものがあります。
過去は単なる記憶であり、未来は不確定な事柄なので、今をしっかり生きるという考え方は、他にも多くの方が語っています。単なる記憶であってもそれはとても重要な財産であるから経験知の宝庫と言えます。そこから学ぶことは大変有用ですよね。そして未来は予測できないけれど、「こうなったら良いなあ」と希望がもてるように、今日を精一杯生きるのですね。そして漫然と過ごすのではなく、常に自分に問いを発すること。 これ実は、問いを発することで脳波が活性化され、時間の進み方を遅くさせることができるという、突拍子もないことを大真面目に研究している方々がいらっしゃるんです。さらに何とこの考え方は仏教にも通じるところがあるのだとか・・・。宗教と科学の融合ですね。 いきなり言いましたが、時間の進み方が遅くなるとはどういうことなのか、それってどんなことに関係するのか、我々の生活にどんな影響があるのか・・・。気になりますよねぇ。どこかでこの話題深めていきたいと思います。 学校長 川合 一紀 コンビニエンス・ストア
コンビニと言えば、今や、どこを歩いても見つけられるほどに多くの出店がありますね。日本のコンビニ第一号は、1969年に大阪にできた「マミー豊中店」というところ。その後1974年に東京でセブンイレブン豊洲店ができて急速に増えました。
ところでコンビニの名前って独特ですよね。「セブンイレブン」は当初の開店時間が朝7時から夜11時までだったのでその名前がついたそうです。「サンクス」は「太陽」のSunとお客様への「感謝」のThanksの掛け合わせからできたもの。「ミニストップ」は近くにあってすぐに立ち寄れる場所という意味のMinute Stopからきたのだとか。「ローソン」は、酪農家のローソン氏が創業者なのでその名前から。ちなみにローソンの看板には牛乳缶が描かれています。それはもともとが町の牛乳屋さんだったからだそうですよ。面白いものですねえ。 コンビニエンスとは「便利なもの」という意味ですから、すぐ近くに大抵のものが揃う店としては、コンビニエンス・ストアは確かに使い勝手が良いと思いますよ。 でも、私はどちらかというと少し遠いお店を何軒か回る方が好きなんですよね。なんだか安易に手に入るものばかりでなく、やっと手に入れたという満足感や達成感があるというか・・・。 学校長 川合 一紀 クロノスとカイロス
ギリシャ神話に出てくる神様として時間を表す「クロノス」という白髪の老人がいます。クロノスとは現在我々が最も身近に使っている時間のことであり、この時間は過去から現在、そして未来へと流れていくものです。時計がそれを表していますね。クロノス神は、砂時計を持っていますから、そこからも数値的、数量的に表される時間のことを象徴しています。
一方で「カイロス」という神は前髪しかない青年です。ギリシャの諺に「幸運の女神には前髪しかない」とあるように、チャンスはそのときにしっかりとつかまないと、去って行った後には後ろ髪がないので掴めないというわけです。つまりこのカイロスとは、一瞬一瞬の主観的な時間を表しているようです。人によってチャンスと捉えるタイミングは違いますから、その一瞬、すなわち「今だ!」という時間をいっているようですね。 現代社会においては、圧倒的にクロノスが優位です。クロノスに振り回されていると言っても良いでしょう。 例えば皆さんが都会から、田舎の温泉地や秘境に行ったらどう感じますか。「なんだか、時間がゆっくり流れているように感じる」なんてことありませんか。これは正に主観的な時間の流れカイロスです。田舎だって時間の流れは同じはずなんですけどね。 幼児は、このクロノスを理解していないので、自分の感覚でカイロスの世界に生きていると言われます。大人はそれを忘れてしまっているようですね。でも、突き詰めると、人間はカイロスの世界にしか生きられません。過去や未来を想起・想像することはできても、それには触れられないのですから。だから今をしっかり生きること。 カイロスの世界を大切にしたいですね。 学校長 川合 一紀 成長と幸運
藤井聡太さんが将棋の名人戦で勝利したのはご存じの方も多いでしょう。私は将棋には詳しくありませんが、この名人戦とは将棋界では特別なタイトルだそうで、すでに獲得した六冠のタイトルに比べて、名人戦への挑戦権は年間ランキングが大きく影響しているのだとか。最年少記録も更新だそうですから、破竹の勢いとはこのことでしょう。しかし私が注目したのは、藤井聡太さんが記者のインタビューに応えた言葉です。
名人戦に勝利した直後に、記者から「名人戦を勝利して七冠達成ですね。藤井さんには特別な景色が見えたのではないですか」と問われました。すると藤井さんは「今回の将棋は、以前に比べて少し余裕がありました。そんな心持ちで将棋を指せたことには自分の成長を感じます」と応えたのです。さらに記者は「これで残すは王座戦のみ。八冠達成に向け意気込みを教えてください」と問い、藤井さんはこう応えました。「挑戦できるまでになったことは幸運でした。子どもの頃から憧れていた名人位に着けたのもこれからの成長に良いものとなりました」 皆さんはどう思われますか。若干二十歳の青年ですが深い言葉だと思います。藤井さんにとっては、タイトルを取ることよりも自分の成長に焦点を当てているし、ここまで来られたのは自分一人の力以上に幸運であったと感じているのです。実は、偉業を成し遂げた多くの方がこの「成長」とか「幸運」という言葉を使います。人生の流れにおいて、この表現は自分を振り返る重要な視点です。藤井さんに改めて教えていただきました。 学校長 川合 一紀 感謝できる人は・・・
心理学者であり教育学博士の河合隼雄さんは言います。
他人に心から感謝するというのは大変なことである。まずそのためには、自分が他人から何らかの援助や恩義を受けた事実を認めなければならない。つまり、感謝できる人とは強い人なのである。弱い人はそもそもそのような現実の把握ができない。それに、次々と襲ってくる不幸や災難に対処してゆかねばならないので、それに追われていて他人のことなど考える余裕がないのである。弱い人は、あまりにも理不尽な不幸や苦しみを体験するので、自分に対してある程度の助けがあっても当然であると考えてしまう。だから誰々が悪い、世の中が悪いと文句を言うことはあっても「恩恵を受けて当たり前」と思っているから感謝の言葉など出てこないのである。 考えさせられる言葉ですよね。「ありがたい」とは「有難い」と書くので、この言葉の反対語は「当たり前」。他人に何かをしてもらっても当たり前と思ってしまう自分はいないか自問します。 今週末は運動会が予定されています。運動会ができて当たり前ではなく、そのための準備や練習できる環境や、朝夕に温かく迎えてくれる親御さんの愛に、生徒の皆さんは感謝できますか。 学校長 川合 一紀 天災は忘れたころにやってくる
5月5日の子供の日。皆さんが連休を楽しんでいる最中に大きな地震が発生しました。
石川県能登地方を震源とするM6.5、最大震度6強(珠洲市)の地震です、能登地方と言えば、2021年度にはコロナ禍において3年生の修学旅行へ行った地。思い起こせばその時から、この石川県では地震が頻発していました。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。 さて、今回の地震で話題になったのが「長周期地震動(ちょうしゅうきじしんどう)」なる言葉。一般的には地震の揺れの大きさを表すのに震度というものを使っています。 しかし昨今では、高層ビルが多く立ち並び、その高層階で過ごす方も多く、その多くの人が感じる「船に揺られているようなゆったりとした揺れ」が注目なのです。 この長周期地震動には4階級の段階があり、これを作ったのは、あの東日本大震災の教訓を活かしてのことだったんですね。当時は、新宿の高層ビル群が大きく傾いては戻るという映像を見た方も多いはずです。今回の能登地方の地震は長周期地震動階級3だとか。何だか楽しいはずのお休みがいっぺんに吹き飛んでしまった感じですよね。 地震学者の寺田寅彦さんの言葉を思い出します。「天災は忘れたころにやってくる」。しかし今回の地震も、学校の休みの日に起きていて不幸中の幸いでした。あゝ、この話はまたどこかでしますね。 学校長 川合 一紀 心配事の96%は起こらない
「心配事の9割は起こらない」。こんなタイトルの本を見たことがあります。
実際に読んだことはないのですが、タイトルだけを見て「確かになぁ〜」と感じることもあります。 アメリカのミシガン大学が行った調査によると、心配事の80%は実際には起きていないというのです。さらには、起きてしまうであろう残りの20%のうちの16%は順序だてて整理し、準備を整えて対応すれば発生には至らず解決できるというのです。つまり、私たちの頭を悩ます心配事のうち、本当に実現してしまうのはわずか4%に過ぎないというわけです。 さて、どうでしょうか。皆さんはいかがですか。「そんなはずないよ!私は失敗続きだ!!」と思われる方は、よく振り返ってみれば、実は解決の途中で問題を放棄してしまっているのではありませんか?「心配事が頭から離れず、夜も眠れない」という方もおられるでしょう。でも、皆さんを悩ます心配事など、たった4%しか起こらないのですよ。つまり96%が余計な心配なのですね。あらゆる物事は自分のプラスとなり、あらゆるトラブルは解決できる。自分には良いことだけが起こり悪いことは起こらない。こんな風に、楽天思考で物事が考えられたら、幸せですよねぇ。 ん〜、見習わなくっちゃ・・・。 学校長 川合 一紀 ただいまねこ
このタイトルの絵本をご存じでしょうか。著者はミヤザーナツさん。
これは、この世から旅立った猫と飼い主との再会を描いた絵本なのです。「絵本なんて・・・」と侮るなかれ。絵本は絵描写と少ない文字で心をつかむ高度な技法を駆使した作品です。小さい子供から大人まで楽しめるものなのです。あらすじはこんな感じ・・・ 「主人公の黒白猫のちびた。毎日ごろごろ、おだやかな日々を送っています。そんなある日のこと、仲間の猫が「きょうは、年に一度のおうちに帰る日だよ」と、言い出します。何のことかと訳もわからず渡された三角の布を頭につけると、ちびたは思い出すのです。自分はあかりちゃんの家の猫で、彼女たちとかけがえのない時間を過ごし、ある日、死を迎えたことを──。」 ちびたが、いろいろと回想するシーンも心打たれますが、何よりも感動するのは「ただいま〜」といってあかりちゃんに耳打ちする描写です。思わず目頭が熱くなりました。 私は猫を飼っていませんが9歳になるプードルを飼っています。小犬の寿命は近年延びましたが、平均13〜14歳くらいとのこと。別れを意識する年齢になりました。猫や犬を飼っている方には、私と同じ心境の方もいらっしゃることでしょう。 日々毎日当たり前に過ごしていたペットと別れを経験された方は、必見の絵本です。心が洗われます。そして人にも優しくなれる気がします。 一度手に取ってみませんか・・・。 学校長 川合 一紀 信頼されること
いよいよ新学期が始まりました。新たな気持ちのスタートです。前向きに取り組んでいきましょう。
先日、ある洋品店のご主人とお話をする機会がありました。そのご主人は、晴れ晴れとしたお顔でこうおっしゃったのです。「今年もすべて間に合いました。」 私は何のことかといぶかしげに伺ってみると、この3月から4月にかけては標準服の採寸と発注が主な仕事であり、この納期が入学式に間に合うかどうか、毎日眠れないくらい気をもむのだそうです。標準服の製造元には毎日のように電話をし納期の確認をする。間に合いそうになければ直接製造元に出向いて調整をするのだそうです。「お客様にとって、晴れの入学式に標準服がそろわないというのは何よりも悲しいことです。だから私は精一杯誠意を尽くすのです。この時期は血圧が上がってしょうがないのですよ。はははは・・・。」と、また眩しいくらいの笑顔でおっしゃるのです。 あまりに清々しくおっしゃるので、簡単なことのように聞こえますが、なかなか難しいことです。このご主人はこうもおっしゃいます。「学年が上がって成長し、標準服もお直しが必要になります。それをすべて毎年2回無料で行います。3年間で何センチもお直しするのですよ。お直しをすると我が子の成長を感じるかのように嬉しくなるんです。」 私は聞きました。「どうしてそこまでやるんですか?」 するとおっしゃいました。「これが私どもの仕事ですから。信頼されることが心のよりどころです」と。 お店を経営する方の頭の下がる姿勢でした。こちらが嬉しくなるのでした。 学校長 川合 一紀 |
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