3月20日(火)
第13回 卒業証書授与式が行われました。
式辞
<平成29年度 豊島区立西池袋中学校 卒業証書授与式 式辞>
H30.3.20
第13回の卒業生161名の皆さん、卒業おめでとうございます。
この佳き日にあたり、ご多用の所、豊島区・豊島区教育委員会より 教育部 部長 天貝勝己(あまがい かつみ) 様をはじめ、日頃、本校に何かとご理解、ご援助を賜っております大勢のご来賓の方々のご臨席をいただき、盛大に卒業証書授与式を挙行できますことは、誠にありがたく、本校職員一同と共に厚く御礼申し上げます。
そして、保護者の皆様方にも ご列席いただいております。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。この三年間、PTA活動等を通してお寄せくださいました本校へのご協力・ご支援に深く感謝いたします。
さて、卒業生の皆さん、先ほど、一人一人にお渡しした卒業証書は、中学校の全課程を修了したと同時に、9年間の義務教育を修了したことを証明するものです。今、卒業の式典にあたり、「西池袋中学校で学んだことを礎に、自分の夢に向かって努力し、自覚と責任をもって自らの役割を果たしてほしい」という気持ちを込めて、メッセージを贈ります。
皆さんは私にとって自慢の生徒達でした。最上級生として下級生に手本を示しながら学校生活を送ってくれました。
例を挙げるなら、あいさつがきちんとできる生徒。大きな声で歌える生徒。持久走にも手を抜かず、努力し、一生懸命に走る生徒でした。
どれも、当たり前と言えば当たり前ですが、当たり前のことをきちんとやることは意外と難しいものです。これらのことがきちんとできる皆さんは立派でした。そして、この三つのことがきちんとできる生徒達の、他の学校生活の様子は推して知るべしものであると言うことです。
11月9日に行われた全日本中学校道徳教育研究大会 東京大会では、日本各地から約700名もの参加者がご来校になり、皆さんの様子に感心され、たくさんのお褒めの言葉をいただきました。私は皆さんに感謝します。どうもありがとうございました。
今、学習の形は「主体的・対話的で深い学び」という言葉がキーワードになっています。義務教育を終えた皆さんの真の学習はこれから始まるとも言えます。人生は一生勉強です。人から言われて始めるのでなく、自分で目標を設定して主体的に学んでいってほしいと思います。
イギリスオックスフォード大学で人工知能などの研究を行うマイケル・オズボーン准教授が2013年に出した論文の中で、人工知能の発展にともない、今後10から20年程度で米国の総雇用者の47%の仕事が自動化されるリスクが高いと発表しました。同論文では、銀行の融資担当者や塗装工、手縫いの仕立屋、ネイリストなどがコンピュータに仕事を奪われる確率が高いというのです。
言い換えれば、将来、皆さんの中には、現在では存在しない仕事に就く者がいるということにもなります。だからこそ、基礎基本を学習した上で、主体的に学び続ける力を身につけ、自分の意見をもち、他の考えも聞き入れ、表現する力が重要なのです。
社会や産業の変化が激しい中、次代を創造することが求められている皆さんは、他にも課題発見・解決能力、創造性、感性、思いやり、意欲、多様性を受容する力といった資質や能力も重要になってきます。
現在、大学入試に使われているセンター試験は2020年1月の実施を最後に廃止され、新たに「大学入学共通テスト」が行われます。卒業生皆さんの代から受検することになるのです。大きな変更点は記述式問題の導入と英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)を評価することなどです。また、「知識・技能」だけでなく、「思考力・判断力・表現力」を中心に評価するという考えがあります。国語や数学でも記述式問題が導入されます。問題に書かれていることを読み取り、考えをまとめ、相手にわかるように表現するのです。
決まった正解のない予測困難な時代を生きる皆さんにとって、自らの人生や社会における、答えが定まっていない問題を受け止め、多様な他者と議論を重ねて探求し、自分が納得でき、周囲の納得も得られる答え=いわゆる納得解を導くための資質・能力が求められるようになります。
少し難しいことを話しましたが、西池袋中学校で学んだ「考え、議論する道徳の授業」と同じように、まず、自分の考えをもち、相手の意見や考えに耳を傾け、話し合い、さらに考える。そして深める。自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としてよりよく生きるにはどうしたらよいのかということを考えてきた皆さんには、その基礎は身についているはずです。また、各教科や特別活動、総合的な学習の時間で、自分の考えをまとめ、相手にわかるように表現してきた皆さんにも、その基礎は身についているはずです。当たり前のことを当たり前にやる力や、苦しいことや辛いことにも立ち向かう力もつけてきたはずです。自信をもって、自己実現に向けて努力を続けてください。
18歳から選挙権が与えられるようになりました。成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が閣議決定の上、国会に提出されています。2年後には、東京オリンピック・パラリンピックも開催されます。
そんな時代を生き抜いていく皆さんだからこそ、「西池袋中学校で学んだことを礎に、自分の夢に向かって努力し、自覚と責任をもって自らの役割を果たしてほしい」のです。この地域、郷土を愛し、西池袋中学校の卒業生であることに自信と誇りをもってこれからの人生を切り拓いていってください。また、卒業生として、地域に生活する者としてこれからも西池袋中学校を応援してください。
卒業生諸君の今後の健やかな成長を祈念し、そして限りない前途を祝し、校長式辞といたします。
平成30年3月20日
豊島区立西池袋中学校 校長 江川 登