国語科からのお知らせ2
- 公開日
- 2020/05/31
- 更新日
- 2020/05/31
学校の様子
「逆さまに読む楽しさ」
視点を変えると、物事が違って見えるとよく言います。それは、言葉や表現の世界においても実は同じことがいえます。
子供の頃、誰もが聞いたことがある昔話「桃太郎」。桃から生まれた桃太郎が、都で悪さをする鬼を退治するために、犬・猿・雉を引き連れて鬼ヶ島に乗り込むという話です。しかし、よく考えてください。鬼たちは桃太郎個人に対して何か悪さをしたわけではありません。桃太郎とも面識がありません。それなのに、桃太郎は鬼ヶ島に来て、鬼たちから財宝を奪っていくのです。逆から読むと、こうなりませんか。
むかしむかし、鬼ヶ島には鬼たちが住んでいました。ある時、桃太郎と名乗る人間と3匹の動物がやってきて、こう言いました。「おれは正義の使者、桃太郎。悪さをするによって、おまえ達をこらしめにきたぞ」。そういうと、桃太郎は、剣をふりかざし鬼たちをこてんぱんに倒してしまいました。そうして桃太郎は、降参した鬼たちから財宝を奪い、自慢げに鬼ヶ島から引き上げていきました。」
桃太郎=正義、鬼=悪役という物語はあくまで桃太郎の立場から語られたものであって、別の立場から見るとまったく違う話になってしまうのです。
みなさんが学習する国語の教科書にもそんな視点を変えることで、違う風景が広がる教材があります。1年生では桑原茂夫「ちょっと立ち止まって」、2年生では太宰治「走れメロス」、3年生では森鴎外「高瀬舟」。どれも、君たちのお父さんお母さんが中学生の頃学んだことのある大変息の長い、魅力的な教材です。みなさんは、どのような視点で教材を見るのでしょうか。それが先生としてはとても楽しみです。