日が暮れて辺りがすっかり暗くなりました。男が地面に膝をついて街灯の下で探し物をしています。そこへ通りがかった女性が「こんなところで何をしているのですか」と訪ねると、男は「鍵をなくしたので探しているのです」と答えました。そこで女性も手伝うことにしました。1時間ほど探しても鍵は見つからず、女性はすっかり困惑して「くまなく探しましたが、どこにもありません。本当にこのあたりで鍵をなくしたのですか」と尋ねました。すると男はこう答えたのです。「いや、本当は家の中でなくしたのですが、街灯の下の方が明るくて探しやすいので、ここで探しているのです」と・・・。この話は、自分の抱えている問題を直視せず、他の人や物の中に問題の根源を探し求めているということを揶揄した寓話です。我々は、本当は問題の根源が自分の中にあることを知りながら避けているということがよくあります。でも、それを直視しないうちは何も変えられないのだということに気づかなくてはなりません。なかなか難しいことです。人のせいにしたり、モノにあたったりしても問題解決にはつながらないことを、本当はよく分かっているのですね。そこで一呼吸置いて、しっかり自分を見つめ直してみたいものです。それができる人は必ず前進し成長していける人なのだと思います。
学校長 川合 一紀