最新更新日:2024/06/02
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今だから考えたいこと

 今から30年近く前のお話です。教育学博士の小林正観さんの娘さんは知的障害者で生まれました。生まれつきの染色体異常で知能も体力も発達が望めなかったと言うことです。その娘さんが6年生の時のお話です。正観さんの言葉で綴ります。
 彼女が6年生の時のことです。運動会で徒競走がありました。彼女は普通の子どもより筋力がないのでいつもビリ。でもその年は、足を捻挫した友達がいたため「もしかしたら、初めてビリじゃないかも」と妻は喜んでおりました。しかし結果は、娘はまたしてもビリ。ところが、妻は残念がることなく、それどころかニコニコと嬉しそうだったのです。
 娘は捻挫をしている友達を気にかけながら、心配そうに、振り返り振り返り、走り続けます。足をかばいながら走っていた友達が転んでしまうと、娘は友達のところに駆け寄り、手を引き、一緒に走り始めたのです。2人を見ていた観客からは大きな声援と拍手がわきました。そして、ゴールの前まで来たとき、娘は、その子の肩をぽんと押して、その子を先にゴールさせたのです。このとき私は自分を恥ずかしく思いました。それまで知的障害者の娘を受け入れることができなかったのです。しかし娘から教わりました。人間が生きる目標というのは、競争したり他人を蹴落としたりして一番になることではなく、「喜ばれる存在」になることなんだと。
 人に喜ばれる存在になること、他人を思いやれること、そんなことを考えるに今は大切な機会かもしれません。スーパーで買い締めをしたり、電車の中で咳をすれば皆で睨んだりと、もう少し心にゆとりと優しさがほしいですよね。

                       学校長  川合 一紀

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